漸化式の特殊解と一般解
次のよくある漸化式でてみよう。
<問>
次の関係を満たす数列を求めよ。
・・・・@
・・・・A
高校の数学では、@が漸化式、Aを初項と呼ぶ。高校数学では@を方程式とみていないから、方程式を解くという言葉は適切ではない。
ところで、差分方程式(広くは関数方程式である)から視ると
@ は差分方程式で、Aは初期条件である。
数学的な構造は微分方程式の場合と同様である。
また、@に対して、次の方程式(漸化式)を考える。
・・・・B
A 式を同次方程式と呼ぶ、
これに対して、
@を非同次方程式と呼ぶ
今後、B式を区別するために次のように置き変えておく。
・・・・C
● 一般解とは
任意(何でもよい)の初期条件(ここでは初項)をもった解である。
B の一般解は、公比2の等比数列であるから、等比数列の一般公の公式から
・・・・D
ここに、は任意の定数である。
この が初項であり、差分方程式での初期条件に相当する。この初期条件を指定したものが特殊解である。
次に改めて、@の特殊解を考えてみよう。
● 特殊解とは
方程式@の解(特集解)を初期条件(初項)Aとは関係なく探してみよう。未定係数法で、定数解を探してみよう。そこで、その解を (定数)としてみよう。すると次の1次方程式を得る。
・・・・・・E
を得る。Eを解いて
を得る。
@の特殊解は
である。
実はE式が受験参考書でいうところの特性方程式であつた訳である。
●@式においての特殊解と一般解との関係
いま@の解(一般解)を 次のようにおくと@式を満たしていることを以下のように確かめることができる。
・・・・F
とく。ここに、は@の解(特殊解)、
はCの解(一般解)である。
それでは、これを@に代入して確かめてみよう。
@
の右辺 =+
=@の左辺
一般に、線形の関数方程式について
非同次方程式の一般解= 非同次方程式の特殊解+同次方程式の一般解
|
の関係が成り立つ。
そこで、これを利用して次の漸化式を解いてみよう(高校ではこの言葉はよくない、方程式とみていないのだから、以下の関係を満たす数列の一般項を求めよ。となる)。
・・・・B
・・・・C
●
まず、Bの特殊解を一つ見つける。
A
式の最後の項がだから、
は1次式で置くのがよい。そこで、
・・・・D
とおき、未定係数法 (を未知数とする) を用いるのである。すなわち、D式をBに代入して
を得る。
について整理して
を得る。したがって、
,
・・・・・E
E式を解いて、
よって、漸化式Bの特殊解は ・・・・・F
なお、Fは明にCを満たさない。だが、それでよい。
●
次に、漸化式@の一般解を求める。Bに対応する同次方程式は
・・・・G
である。この一般解は
・・・・D
●
最後に、非同次方程式の一般解=非同次方程式の特殊解+同次方程式の一般解
により
ここに ,
は任意定数である。これは初項Cから
定めることができる。
=1 より
、
よって、
<答え>